高山観光の定番といえば、やはり宮川朝市。朝の澄んだ空気を感じながら、いろいろなお店をゆっくりと散策しました。その後、高山陣屋前の朝市にも足を伸ばし、再び古い街並みへと戻ってきたのは朝9時を過ぎた頃のことです。
風情ある町を歩いていると、「明治28年創業 菓子処 前畑点心堂」という看板がふと目に留まりました。その歴史の深さに惹かれ、思わずお店の中へと吸い込まれるようにお買い物を楽しむことにしました。

菓子処 前畑点心堂について
前畑点心堂は、1895年(明治28年)創業という、100年以上の歴史を誇る老舗です。
お店の代表銘菓は、なんといっても「栃の実せんべい」。
こちら、栃の実せんべいの元祖とも言われているのだそうです。
飛騨産の栃の実を丁寧にアク抜きし、その独特の風味を最大限に引き出しながら、香ばしく焼き上げられています。
驚いたことに、栃の実を食べられる状態に加工するまでには、なんと1か月近くもの時間を要するのだとか。
冬の寒さが厳しい飛騨の地で、かつては貴重な栄養源として大切にされてきた栃の実。その歴史の重みを感じる一品です。
ちなみに、お菓子屋さんにしては「前畑点心堂」という名前が少し珍しいなと思い、調べてみたのですが、あまり詳しい情報は見当たりませんでした。創業時のエピソードなども含め、知れば知るほど気になる存在です。お店で4代目ご主人に店名の由来を伺ってこればよかったなと思いました。
「飛騨の伝統を繋ぐ、熟練の職人技を覗いて。」
創業明治28年、前畑点心堂で大切に守り続けられてきた手仕事の風景。
飛騨産の栃の実を使った名物「栃の実せんべい」と、伝統の「甘々棒」が生まれる様子を、2本の動画でご紹介します。
職人さんの温かい眼差しと、工房の香りが伝わってくるようなひとときを、ぜひ映像でもお楽しみください。
前畑点心堂 4代目主人に聞いた、老舗の逸品
せっかくの機会なので、お店の4代目のご主人に「一番古くから作られているお菓子は何ですか?」と尋ねてみました。
返ってきた答えは「甘々棒(かんかんぼう)」という、初めて聞く名前でした。
きなこを水飴でじっくりと練り上げ、細長い棒状に伸ばして作られるこの練り菓子は、カンカンと音がするほど固いことから「かんかんぼう」と呼ばれるようになったそうです。
また、豆板や栃の実せんべいも古くから愛され続けているとのこと。豆板については、昔は大豆で作られていたそうですが、現在はより風味豊かな落花生を使って作られているというお話も伺えました。
今回、私が手に取ったのは、その甘々棒と豆板、栃の実せんべい、そしてくるみせんべいです。素朴ながらも歴史を感じるお菓子たち。


実食レポート:前畑点心堂の伝統銘菓を味わう
【栃の実せんべい】


原材料: 砂糖、小麦粉、卵、牛乳、栃の実、落花生/膨張剤
まずいただいたのは、お店の代名詞でもある「栃の実せんべい」です。
実際に栃の実そのものを見たことがないため、最初はどんな味なのだろうと少しワクワクしていましたが、いざ口にしてみると非常に食べやすく、どこかホッとするような優しい味わいでした。
食感は固すぎず、手で「パキッ」と心地よく割ることができます。
袋を開けた瞬間からふわりと優しい香りが広がり、さらに生地に練り込まれている落花生のおかげで、噛むほどに香ばしい風味が口いっぱいに広がります。
素朴でありながら、素材の良さが丁寧に引き出された美味しいおせんべいです。
【くるみせんべい】


原材料: 砂糖、小麦粉、卵、牛乳、くるみ/膨張剤
続いては「くるみせんべい」です。 こちらは先ほどの栃の実せんべいよりも少しだけしっかりとした固さがあり、手で割るときには「バシッ」と頼もしい感触があります。
こちらもベースは食べやすく優しい味わいですが、アクセントに入っているくるみならではの豊かな香ばしさをしっかりと楽しむことができます。お茶うけにぴったりな、香ばしさがクセになる一品です。
【まめ板】


原材料: 餅米飴、水飴、砂糖、落花生
※なお、こちらの「まめ板」は、酷暑日や猛暑日など非常に暑い日に外で持ち歩くと飴が溶けてしまう可能性がありますので、持ち運びの際は少し注意が必要です。
直径約6cmもあり、固さがあるため、手で小さく割ってから、口の中でじっくりと溶かしながら味わいます。
見た目がとても甘そうに見えたのですが、一口食べてその印象が覆りました。
実際にいただいてみると、驚くほど上品な甘さでまったくくどさがありません。
本当に甘すぎないため、ずっと舐めていられるほど心地よい味わいです。
そして、じっくりとなめているうちに飴がとろけていくと、中から香ばしい落花生が顔を出します。
甘くなったお口の中を、この香ばしいパリパリ食感の落花生が絶妙にリフレッシュしてくれるのです。
これは正直、私の想像をはるかに超える美味しさでした。今回、思い切って「まめ板」も購入して本当に良かったです!
【甘々棒(かんかんぼう)】

原材料: 餅米飴、水飴、砂糖、黒砂糖、きな粉、黒ゴマ
最後は、お店の4代目ご主人が「一番古くから作られている」と教えてくださった「甘々棒(かんかんぼう)」です。
袋から取り出すときにお皿の上で「カンカン」と音が響くため、「いったいどれほど固いのだろう……」と少し身構えて口に運んだのですが、実際にいただいてみると驚くことにそれほど固くありません。
自分の歯でしっかりと噛み切れる絶妙な柔らかさです。
また、きな粉がたっぷりとまぶされているため、「かなり甘みが強いのかな?」と想像しながら口に入れたのですが、こちらもいい意味で予想を裏切られました。
全然甘ったるくなく、とても程よい上品な甘さです。きな粉の風味も食べやすい味わいに仕上がっており、事前のイメージとはまったく異なる美味しさでした。
上品で素朴なお味にすっかり魅了され、気づけばついつい5本も続けていただいてしまったほどお気に入りの一品になりました。
☆今回 菓子処 前畑点心堂さんで購入した4種類のお菓子はどれもとても美味しくて大満足です☆
【店舗情報】
菓子処 前畑点心堂
住所:岐阜県高山市上二之町16
※高山土産をお探しの方、とちのみせんべいや和菓子がお好きな方は、ぜひお取り寄せやギフトの参考にしてみてくださいね。






